昨今歯を抜きたがる歯医者が多くて、患者さんからのセカンドオピニオンが続いています。
先日も虫歯あり歯を抜かなくてはいけないと言われたという事で来られた方がいます。
左上の7番という歯ですが、その歯を抜くためには上顎洞という顎の骨の空洞が近い為に手術が必要で、またその傷の治りをよくする薬も使わなくてはならないという事でした。
その薬というのが保険適応でないために抜歯も同時に行う手術も本来は保険適応であるにも関わらず「一連の治療行為」とされるために全てが保険適応外となり、総額で10万円以上かかると言われたとの事。
正直、患者さんが納得すればそれでもいいのかもしれませんが(あんまり良くないですが)一番の問題はこの歯医者がその歯が抜かなくてはいけない状態かどうかを精査しなかった事です。
単にレントゲンを撮りその所見だけで「抜歯するしかない」と言われたそうです。
私の方でレントゲンを撮り、どうせ抜かなくてはいけないと言われた歯なので治療をさせていただきたいとお願いし、ご同意がいただけたので治療を始めてみました。
すると歯質は少し少ないのですが、抜歯するほどの事は全くなく、しっかりと治療すれば最低でも5年以上は使えそうな状態でした。
また別の患者さんは半年前に私が入れた下の一番奥の7番という歯の手前の6番がかぶせ物と歯の一部が折れて来られました。
その数日前に他院でその取れたかぶせ物をみてもらいレントゲンを撮ってもらったら、抜かなくってはいけない状態と言われたそうです。
ついでに私が半年前に作った歯も「そのうちだめになるから一緒に抜いて2本ともインプラントを入れましょう」と言われたそうです。
全く失礼な話です。
正直7番の歯もいい状態でなくまた今回取れてきた歯もレントゲン的には厳しかったのも事実ですが当然のことながらそれらに関しては半年前に7番を作る時点で患者さんにすべて伝えていたため患者さんにもその件は十分にご理解を得られていました。
このケースもそうですが歯医者は何もせず単にレントゲンだけで診断し、憶測ですがまるでなるべく抜かずに保存しようというよりも、出来れば抜いてインプラントを入れたいと考えたのか…
ゲスの勘繰りならばいいのですが…
かなり厳しい6番でしたがこちらも患者さんの了解を得て治療を始めました。
すると以外にもレントゲンと違って硬いしっかりとした歯が歯肉の上に残っており、どうもこちらも5~6年は使えそうなほどしっかりとしていました。
改めてレントゲンだけでの診断は限界があると感じた次第です。
結論的には歯は抜いてはいけないという事と(当たり前ですが)厳しい状態で当あっても取りあえず保存できないかトライをする。
これもしないで3次元を2次元で写し出したレントゲンなる物だけでの診断は危ういという事です。
結果的にこの両方のケースはうまくいきそうですが、必ずしもこうなるとは限らないことはお伝えしておきます。
今の時代あれだけ歯を大事にするように教えられてきたはずなのですが、何を目的として考えているのかわからない歯医者さんもまだまだおられるようで残念です。
セカンドオピニオンは恥ずかしい事でも迷惑をかける事でもありません。
患者さんは患者さん自身の実を守る権利があります。
納得いかなければ他の先生のご意見を聞くのも一法ですので。