若い方が歯ぐきが痛いという主訴で来院されました。
基本的に歯ぐきが痛いのは親知らずや中年以降の歯周病による急性発作と相場は決まております(我々の常識では)
特に歯茎は知覚繊維が少ないために、そこに限局して痛みを訴えて来られる方は大変珍しいのです。
特にこの患者さんは若い方で数か月前より左奥の親知らずの歯ぐきが変だったけど、今は上と下の前歯から出血して歯ブラシは出来ないし、食べることも出来ずあちこちでそ~っと噛んでいるということです。
もしも患者さんお言われていることがすべて事実ならば1つしか病名は浮かびませんでした。
ANUG(急性壊死性潰瘍性歯肉炎)という病気です。
大変珍しいもので基本的には抵抗力の弱い乳幼児や老人に多いと言われています。
ではなぜ20歳そこそこの方が罹患したかと言うと、かなり体力的、免疫的に状態が悪い時で、かつハードワーカーで食事も不定期な方としか考えようがありませんでした。
しかしながらお話を聞いてみると本人は熱もなく体調も悪くなく、特に今は8日連続のお盆休み中の為に元気との事。
しかしながら頭に手を当てがうと間違いなく熱がありました。
患者さんに問うてみると「自分は風邪をひいてもほとんど自覚症状がない」と言われました。
ですから本人は気が付いていないようですが相当の体力低下などがあり、全身疲弊しているはずであることをつたえました。
実際には歯茎に歯ブラシを当てられない箇所がたくさんあり、食べることも出来ないほど歯が痛むところもあるという事で、今回は抗生物質などを処方し、来週に摂食障害が続いているならば大きな病院に入院することになると伝えて帰られました。
このようにあまり症状を訴えられなくとも、その中に大きな病態が隠れていることも時々あり慎重な診断が必要だと思います。
来週どのような状態になってこられるか心配です。
またご報告します。