神経を取るのは痛いとよく言われますが、基本的にはそれほど痛くは有りません。
なぜならば麻酔をするからです。
ただその麻酔が効きにくいと痛いこともあります。
そのほとんどの理由が、神経の状態を悪くしてから来院されたときです。
簡単に言うと痛くて痛くて仕方ないから来た、といった場合です。
我慢をしていると神経組織が変性を起こしてPHが酸性に傾きます。
麻酔薬の中身はほとんど酸性の物質が入っていますので、酸性と酸性がぶつかり合い、拮抗作用を起こして効かないという理屈です。
ですから我慢に我慢を重ねてやっと歯医者へ行って神経を取ってもらったけどえらく痛かった、と言うようなことが巷で広まり「神経を取るのは痛い」という定説が出来上がったと思われます。
かといって神経に痛みが無い時はなるべく神経は我々も取りたくないのですが、やはりある程度の痛みが続いてくるとやむなく神経を取る処置をします。
また神経は数十万本の神経線維で出来ており、神経を完全に取るという行為は実際はなかなか難しく、ほんの数百本の神経組織でも生きていると治療の際に器具を挿入すると痛いものです。
また神経を取ると言っても脳の中からつながっている神経を根こそぎ取るわけでないため、実際には神経を途中で歯の中に入ってきた段階からカットする(切断する)ような処置をします。
ただその切断面が炎症状態を起こしていると、なかなか治らずいわゆる「難治性」の治療と化してしまいます。
とにかくミクロン単位の世界なので、慎重な治療が求められます。