※残根:歯として機能させることのできない根っこだけ残った歯の事。
抜歯しか適応が無い歯の事。
昨日20年以上通っていただいている患者さんが1年ぶりに来られました。
右上の差し歯が取れたという事でした。
これは再セットして何も問題が無いのですが、昔から歯が悪くて限りなく歯を抜かずに治そうと私が努力を続けてきた患者さんでした。
歯をなるべく抜かないように、抜くとしても固定性のブリッジで何とかならないかをいろいろと考えてやってきていました。
その為にしばらくは歯を抜いてもある程度噛めるブリッジで対応をしていました。
ところがある時をターニングポイントとして変わりました。
入れ歯を入れざるを得なくなったためです。
ブリッジを作るだけの歯の量や質が無くても、ある程度の歯の状態が良ければ抜かずに残そうと努力してみました。
下顎の入れ歯(総入れ歯)ですが、幾分かの歯の量があり、それを抜かずに入れ歯の支えてとして使えないかやってみました。
するとそれらの歯に維持を求めないでいた状態と比較して患者さん曰く、その歯に維持を求めた形で入れ歯を修理したところ、とてもよくなって噛めるようになったと喜んでおられました。
行きつくところやはり歯は抜いてはだめです。
本来ならば歯は根の深さが最低でも8~10mm欲しいのですが、その患者さんの歯の根の長さは3~5mm。
常識ではそんな歯は使えないというのが我々の一般的な考え方ですが、痛み無くかつ噛めるならば使えるものは使う。
この主義でやっています。
1年近く経ったためにやや入れ歯が緩んでいるようなので、来週にまた修理をしてあげるつもりです。
とにかく歯抜いたら最後。
噛めなくなったら、老けます。
私は患者さんに「あなたが抜いてくれと言われるまで抜きません!」といつも言っています。