下の前歯がグラグラして食べ物が食べられなくなったという患者さんが来られました。
80歳を超えておられ以前は遠方に住んでいたそうですが、今は諸事情で私の患者さんである娘さんが面倒をみることとなり、一緒に来られました。
話はそれますが最近このような患者さんが多くて、ご高齢の患者さんに娘さんや息子さんが一緒に来られる方が多いです。
当院ではこのような場合必ずご一緒に来られた方にも診療室へ入っていただき、一緒に説明をさせていただいております。
ご心配の方には診療中も横に居ていただきます。
話を戻しますが高齢者の摂食障害は大変大きな問題を引き起こします。
私が摂食嚥下指導でお伺いしている特養では、食べられない入居者はどんどんと衰えていきます。
従ってこの患者さんも何が原因かを考えましたが、よく見ると下の前歯が1本グラグラで触るだけで痛みを訴えられます。
ご高齢という事もありますし基本的に抜歯をしない治療を心がけておりますので、噛み合わせの調整と接着剤での固定にて無事触っても痛くない状態に戻しました(たぶん今日からまた食べられていると思います)
他にも同様の患者さんがおられまして、この方は92歳というかなりご高齢の方ですが同じく下の前歯がグラグラして痛いという事で来院されました。
この方は実は数か月前にもその隣の歯がぐらつくという事で来られて、抜歯をした患者さんです。
グラついた理由が大事なのですが、誤ってお箸を噛んだそうです。(前回もそうでした)
ご高齢になると食べている際に、食べ物とお箸の認識が一瞬無くなる方がおられます。
この患者さんの場合は大変に残念ですが、指で引っ張ればすぐに抜けそうなことと入れ歯のばねがかかる歯であることなどを考慮して、止む無く抜歯となりました。
なるべく歯は抜かないをコンセプトにしておりますが、諸般の事情でそれも叶わないケースもあり、その度にわが身の無力さを感じさせられます。